騎乗の人

昨日、勤務先の院長からいただいた体験チケットを利用して、埼玉県上尾市まで乗馬体験に行ってきた。

昔、帯広の農業高校が舞台の漫画『銀の匙』を読んでから、乗馬に少し興味を抱いており、機会があれば、一度やってみたいなと思っていたのだ。

北海道にいた時、牧場の馬や牛を車越しに見たことはあったけれど、乗ったことはなかった。

だから偶然にもその機会が訪れ、休みのタイミングもちょうど都合が良かったので、勇気を出して予約をしてみた。

電話で確認したところ、準備は長袖と靴下、軍手のみ。
ヘルメットやブーツ、安全ベストなどはレンタルできる。

電車を乗り継ぎ埼玉県の上尾駅へ。そこから10分ほどバスに乗って到着。
ほのかに少し懐かしい牧場のにおいがするが、臭いわけではなかった。

天気は薄曇り。午後から雨の予報だったが、乗馬は雨でも可能とのことで防水のジャンパーを着てきた。

小綺麗なドーム状の建物に入り、受付を済ませ、レクチャー用のDVDを5分ほど観たら、防具をつけていく。
ヘルメットは競馬の騎手が被っているあの形で、黒いもの。
防護用ベストは馬から落ちると膨らむエアバッグになっているらしい。
あとはブーツと、脛当てみたいな、ふくらはぎの周りをぐるりと守る革の防具をつける。

そして案内され、馬と対面する


で…でかい…



高さもさることながら、顔の大きさ、首周りの太さ、眼球の大きさにびびる。

これからこれに乗るのか、乗っちゃうのか自分。

ちゃんと人に馴れているようで、漫画とかで見るように鼻息をブルブルさせたり、後脚で急に立ち上がったりはしない。

係員のお姉さんが色々と教えてくれる
「褒めるときはこうして軽く叩くんですよ」
と馬の首をべしべしと叩くお姉さん

な…なるほど…いいのか…
おそるおそる撫でてみると毛が短くしっとりとしている。
そして真似して軽く叩いてみる。筋肉の厚みがすごい。


他にも馬の特徴、注意事項などを教えてくれる。
後ろはとにかく危ないらしい。たしかに、蹴られたら体に穴があきそうだ。

そのあと馬場に移動し、連れてきてもらった馬に乗る。

二段の台みたいなのに登り、左手で手綱とたてがみをつかむ。右手は鞍に。
左足をあぶみ(足を乗せて置く部分)にかけて右足を上げ、一気に跨る。めでたく馬上の人となる。

かなり眺めがいい。高いのが怖く感じるかと思いきや、全然だった。

係員さんが綱を引きながら馬を歩かせてくれる。
四足歩行の動物に乗るのは初めてのはずなのに、自然な揺れが心地よく、懐かしさすら感じる。

基本のゆったりとした歩き方で、円形のコースをぐるぐると回ってもらう。これだけでもかなり楽しい。

途中で発進、停止、方向の指示を教わる。
どれもとてもシンプルだ。

方向に関しては手綱の指示もあるけれど、基本的には行きたい方向を見ておくことで、馬が感じ取ってくれるのだと。すごい。

心理面の意図が身体を通して動きにつながるのは、昔習った合氣道に似ていた。

最後の方で、少し馬に小走りをしてもらう。こうすると結構別物で、馬の振動がダイレクトに伝わってきてこれまた面白い。乗っている人間の方も、タイミングよく尻を上げ下げするという動きが加わり、スポーツ感がある。

一通り終わったら、付き合ってもらった馬に労いの意味を込めて首をべしべしと叩く。

一見言葉が通じないはずの動物とも、何かしら気持ちが通じ合えるような時間が、そこにはあった。

乗馬体験、大変おすすめである。

松浦信孝の読書帳

本を読んで考えたことを中心に好き勝手書いてます。

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