愛と菌が、世界を救うのかもしれない。
ポップでオシャレな、それでいて手作りの温もりを感じる表紙に包まれたこの本は、元々ZINEという手作りマガジンがベースになっている。
アメリカの発酵研究家、サンダー・エリックス・キャッツの発酵愛に溢れた一冊だ。
2021年になってから出会った発酵料理の先生、まめこさん(江田麻美子さん)から教わった、おそらくサンダーキャッツの最初の本。
まめこさんもサンダーキャッツに負けず劣らず、発酵愛の溢れる人である。まめこさんから教わった発酵食の数々が、自分の体を腸内からリセットしてくれた。
本書ではミード、ザワークラウト、ピクルス、テンペ、サワードウ、キムチ、味噌、甘酒など多岐にわたる内容がわかりやすく紹介されている。
分量がアメリカ基準の翻訳だったりするが、そこもご愛嬌。そもそも発酵はそんなにタイトで堅苦しい物ではないのだから、食品と対話しながら楽しめば良い。
ただの発酵料理本ではなく、著者の生活、考え方、病気についての思いなど内容はいろんな角度で暮らしにつながっていく。
小ぶりなサイズ、手頃な厚みで軽快に、しかし着実に読み手を発酵の沼へと引きずり込む良書。
この本で発酵に目覚めたら、著者の続編『天然発酵の世界』や『発酵の技法』でズブズブと深みに進むも良いし、小倉ヒラク著『発酵文化人類学』でポップでおしゃれな現代版発酵の世界を旅してもいい。
発酵は各人に開かれたアートだ。その心は民藝につながっている。
その心は自分の力でうまくやる、ではなくて、場を整えればうまくいく、だと思うのだ。
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