15の時から読んでいる、座右の書
最近、自分の今まで出会った本を振り返る、ということをしている。特に読書ノートなどつけているわけではないから、読み終えても印象に残らなかった本のことはいつも忘れてしまう。
この本は、出会った時から違った。
高校に合格し、寮に入るために乗った汽車内で見送りに来てくれた父から渡された、気がする。(この辺の記憶は曖昧)
読むなりその温かな言葉たちが、自分の心を掴んだ。
厚い本ではない、単なる名言集なので、文字数も少ない。
でも、その優しい言葉達からは、根底を流れる熱い、確たる信念が感じられた。
「人生に無駄はない」
「人生は にこにこ顔の 命懸け」
「人間は80歳になってようやく、本当の人生が始まる」
15歳が反応するには些か渋すぎるスケールの言葉達であったが、なぜか当時真理を求めていた自分の心に彼の言葉達が沁みた。
著者の平澤興は京大医学部解剖学講座教授、京大総長などを務めた人である。
基礎医学の巨人が、人間の最も奥深いところを言い当て、その思想は愛に満ちている。そこに感動した。
それからこの本は自分のお守りになった。
毎日行われる義務自習の時間、いつもこの本を数ページだけ読んでから、勉強を始めた。
何周もするうちに、いくつかのページが剥がれそうになり、セロテープで補強しながらも読んだ。
言葉の意味はわかるけども、実際に体験をして、本当の意味で分かりたい、そう思えることがたくさん書いてあった。
生きるのが楽しみになった。80歳まで生きて、その先が見てみたいと。
仕事をする、お金を稼ぐ、以外の価値、自分を磨き上げるために生きる、その観点を教えてくれたのは、この本である。
のちに友人から、松浦の精神年齢は80代だ、とか、この本を読み続けるとのぶが出来上がる、とか言われた曰く付きの本でもある。
齋藤一人さんの本に、昔書いてあった。
人はそれぞれ、1000回読む本に出会うことがあると。
自分にとってこの本は、きっとそうなんだろう。
何かあるごとに振り返る、自分だけのアンカー。
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